剣岳へ 1日目 [登山]
深夜高速バスで富山駅に向かいます。
前々日くらいに慌てて予約しました。運がいいことに席が取れました。しかも片道3,000円と格安。夏休みの帰省かディズニーで遊んだ帰りか満席でした。椅子は4列の観光バス、寝られる状況ではありません。寝たと思ったら4時に目が覚めてしまいました。
目的は剣岳登頂です。
剣岳へ 2日目 富山駅 [登山]
高速バスは定刻通り6時に富山駅到着。列車に乗り換えて宇奈月温泉に向かいます。
剣岳へ 2日目 宇奈月温泉駅 [登山]
剣岳へ 2日目 欅平登山口 [登山]
欅平駅到着。中央が登山口です。ほぼ垂直に500メートルの登りから始まります。
水平歩道
wikiより転載)
道は黒部川の左岸に沿って、一部区間を除きほぼ同じ標高(約1,000 m)を保ったまま水平に延びている。鋭く切り立った黒部峡谷の断崖を「コ」の字形にくり抜いて作られた道であり、幅は狭いところで70から80 cmほど。
関西電力の黒部川第四発電所から延びる送電線の巡視路としても使われているため、道自体はよく整備されているが、途中には鉄製または丸太を組んで作った桟道もあり、また道が通っているのが川面から数百mの高さの絶壁上で、ひとたび転落すれば生命にも関わることから、俗に「黒部では怪我をしない」(落ちると怪我どころでは済まない、の意)と言われ、実際に転落事故がしばしば発生している。このため、登山道としては上級コースに区分される。危険箇所には山側に手すり代わりの太い針金やワイヤーが張られているが、谷側には転落防止の柵などは設けられていない。また、欅平から12 kmほどの場所にある山小屋「阿曽原温泉小屋」を除けばコース途中に避難所はなく、エスケープルートも存在しない。
進むしかありません。
断崖を削った道、丸太で組んだ道、鉄板を敷いた道。手すりはありません。番線は通っています。番線を伝いながら進みます。心配な人は番線にカラビナかけるといいでしょう。でも途中で、面倒になると思います。
踏み抜くと落下です。背中の20kgの荷物が気になります。
崖を歩いていきます。遥か下に黒部川が見えます。
撮った写真は少ないです。足元が怖くてカメラどころではありません。
途中トンネルがあります。ライト必携です。水没している個所もあるのでゴアテックスのハイカットでないと通れません。私はミッドカットなのでつま先立ち。
山肌に見える”筋”が水平歩道です。12km歩きに集中です。ふざけてると落ちて死にます。
剣岳へ 2日目 阿曽原温泉 [登山]
今日の目的地、阿曽原温泉に到着しました。7時間もかかってしまいました。
登山道に温泉があるなんて恵まれています。ちょうど良い湯加減です。単純泉だと思います。
このカットの後、温泉にカメラを落としてしまいました。データは無事でした。痛い出費です。
壊れたカメラと無駄な重い三脚を背負って歩くことになりました。登山には防水のコンデジですね。
断崖12kmの水平歩道を歩かないと到着しないため「日本一危険な温泉」と言われている。要らぬ日本一に来てしまった。
剣岳へ 3日目 仙人ダム [登山]
阿曽原温泉を出発し管理用のトンネルを抜け仙人ダムにで出ます。
写真はiPhoneです。
仙人温泉小屋を通り仙人池ヒュッテ、池の平のキャンプ場を目指します。
いつも思うのですが、登山道を整備してくれる人には本当に頭が下がります。登るだけでも大変なのに、資材の揚重して敷設して。
沢沿いに鎖場の登山道が続きます。
名もなき山の尾根を越えます。目的地はまだ先です。
この登山道は雲切新道と呼ばれ、崩落した仙人谷ルートに代わって2006年に阿曽原温泉小屋のオーナーの努力により開通しました。ありがたいものです。ただし、登りはかなりハードです。
仙人谷に降りてきました。雪渓です。雪があるなんて聞いていません。本気で軽アイゼンが要ります。
登山は経験者に同行をお願いするか、予め情報を集めて登ります。
仙人池ヒュッテまでひたすら雪渓を登ります。アイゼン?持っていません。
adidasのミッドカットがよくグリップしてくれます。ストックがあるので登れます。
雪渓を登る途中から雨が降ってきました。土砂降りです。このとき、北陸は梅雨明けしていませんでした。カミナリも鳴っています。雲に近いだけ、カミナリも近くで鳴ります。2本のストックが避雷針にならないように祈るだけです。
仙人池ヒュッテ
土砂降りの中、7時間かけて仙人池ヒュッテに着きました。もう動けません。iPhoneも雨に濡らし電源ボタンが入らない、画面が暗くなってしまいました。この雨にやられてぇ♪オイラのiPhone逝っちまったぁ♪
その中、予約なしで迎え入れていただきました。
雨の中、屋根のあるところで寝られる。ありがたいことです。
仙人池ヒュッテでは大変、よくしていただきました。
翌朝7月28日、出発の時「また来てくださいね」と見送っていただきました。水平歩道のことを思うと、多分「また」は無いでしょう。
この日も雨です。仙人池ヒュッテから下り、剣沢に出ました。ここからも雪渓を登ります。雪渓を吹き降ろす風に凍えます。雪渓をひたすら3kmほど登りましたが、GPSが指す方向と目標とが離れていきます。道に迷いました。三ノ窓雪渓に入ってしまったようです。日本には氷河は無いとされてきましたが、2012年4月三ノ窓雪渓は氷河と認定されました。遭難するところでした。
来た道を引き返し、結局「また」仙人池ヒュッテにお世話になりました。
登山は経験者に同行をお願いするか、予め情報を集めて登ります。
剣岳へ 剣沢小屋 [登山]
今日も雨です。
仙人池ヒュッテから剣沢に降り、剣沢を渡り、剣沢小屋を目指します。
このルートも雪渓の登りです。雪渓は目印が無いので、登山道へ入るポイント間違えると道に迷います。
7kmの行程を、10時間かけて登ってきました。
テント泊の予定でしたが、予約なしで迎え入れていただきました。
雨の中、冷えたビールも付いて屋根があるところで眠れる幸せ。
壊れたiPhoneで撮っています。
剣沢小屋で自炊をさせてもらいました。メニューはレトルトのペペロンチーノ、オニオンスープ、と赤ワイン。
剣岳登山中止 [登山]
7月30日も朝から雨です。剣岳登山はあきらめました。
早めの昼食に鍋焼きうどんをいただき、下山することになりました。
山は逃げません。ただし、体力は年々逃げていきます。
しかし、また来ます。
扇沢 [登山]
扇沢のバス停に降りてきました。
売店のお嬢様の写真を勝手に掲載しました。ソフトクリームおいしかったです。
バスで信濃大町温泉郷に向かいます。
下山して。
山を舐めていました。山を舐めていることを武勇伝のように周りに吹いていた自分が恥ずかしくなりました。
今まで登った山で事故がなかったのは幸運なだけだったのでしょう。
遥か数千年余の昔から、山は神域とされ神が宿ると場所とされてきました。それは人々が、山がもたらす森や川からの恩恵、一方で山に安易に近づく者は情け容赦無く命を奪う険しい姿に神が宿る様を見出したのかもしれません。山を登ることで体が清められ、新しい肉体が形成されることを、山を神聖視し崇拝の対象とする信仰の源かと私は思います。
山で事故を起こして、山中に己の腐体をさらすことは恐れ多いことだと深く思いました。
自らの態度を律せよと、剣岳の圧倒的な威圧感と、遠くに見えた霊的なその頂が私に強く言い聞かせているようでした。
売店のおばちゃんを悲しませるようなことはしてはいけないのです。
登山なんかで死にたくない。私には登りたい山が山ほどあるのです。